まちえんの活動記録

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09 9月9日 第4回まちえん学校「歴史まちづくりシリーズ・第3弾」

まちえん学校・歴史まちづくり編・第3夜は、金沢市役所・歴史建造物整備課の土田昌伯さんをお呼びして、すでに歴史まちづくりに踏み出している金沢のこれまでと、これからについてお話をお聞きしました。

土田さんには、まちえん学校に先立つ当日の午後、小田原用水(早川上水)を中心に小田原のまちを歩いていただき、小田原での歴史まちづくりの可能性についても、あわせて意見交換させていただきました。
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車座のみなさんの関心をひいたのは、歴史まちづくりを進める金沢市役所独特の組織と、実際に進めている思い切った事業がどのようにして可能になったのか、ということでした。

まず、金沢市役所では、平成14年ごろから、従来、教育委員会に属していた文化財保護課と、都市計画部局にある歴史建造物整備課とが、同じ部に属すように改め、協力して歴史まちづくりを進めています。さらに、他の都市計画部局とも、同じフロアで仕事を行なっているほか、毎月1回全課課長会議を開き調整しています。こうした体制が、歴史まちづくりを進めるうえで、非常にうまく働いているということでした。

大切なことは、歴史まちづくり法に先立って、環境条例や用水保全条例を定めるなど、過去20年にわたり、一歩一歩、歴史まちづくりにむけて、体制を固め、実績を挙げてきたことです。

小田原でも、一足飛びに、金沢のような仕組みを整えるのは難しいかもしれません。一つひとつの事業を保存と開発の双方の立場が協力して紡ぎあげ、また、調査や条例づくりを重ねてゆくことが、求められています。
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また、用水のふたを開けなおすなどの事業がなぜ可能になったのかについても質問が集まりました。土田さんからは、市役所側が「絶対やりとげるのだ」という覚悟と、説得できるだけの理由をもつことが何よりも大切だという、強いメッセージが示されました。

そうした覚悟と理論をもつためにも、揺るがない立場を貫ける、保存を目指す部局を尊重し、互いに協力してゆくことが、鍵を握るという、経験に裏づけられたお話もありました。

歴史まちづくり法の核をなす、「歴史的風致」についても、まず、残すべきもの、磨きなおすものについて、その歴史遺産としての位置づけをしっかりさせ、そのうえで、生活文化とのかかわりを肉付けしてゆくのが正攻法なのではないか、との意見が示されました。
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土田さんのご意見では、小田原用水(早川上水)についても、金沢よりも魅力的な空間が少なくないとのこと。また、惣構も、ほとんど名残りが失われた金沢に比べ、小田原は意識の高さから残されているのでは、とのご感想もいただきました。

小田原でも、まずは、なぜ大切にしなければならないのかという点について、きちんとした調査をして歴史的な価値をたしかめたり、どこにターゲットをしぼるかをシミュレーションしたりする作業が、計画を編んでゆくうえでは欠かせないことになります。歴史的風致というと、ぼんやりして、どこまでも広がってゆきそうですが、何を、どこを大切にしなければならないのか、そこに焦点を絞って考えてゆくのが、近道なのかも知れません。
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最後に、土田さんからは、今回のまちえん学校のような車座が、毎月開かれるのは、金沢では考えられない、これだけ市民や役所の熱意があれば、きっと芯の通ったまちづくりが進められる、というご感想をいただきました。

その意味では、まちえん学校・歴史まちづくり編は、予定では今回が最後ですが、これからも、歴史的風致の一つひとつについて、住民をはじめ関係者と、金沢のような一歩先に踏み出した町の方との意見交換を企画し、歴史まちづくりを、対象の定まった、実のあるものにしてゆきたいものです。

(まちえん・平井太郎)
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by machien2 | 2009-09-09 12:45